本来ならば魔力を操り、心で思うだけで装填される魔銃の弾を、手動で行わなければならないというハンデを背負うヴァンガード。

だが、彼もこの数日遊んでいたわけではない。

目ぬ見えぬ程の速さで弾倉を交換し、絶え間なく通常弾の雨を降らせるまでにその速さを上げていた。

そうして追いかける。

決して立ち止まることのない、彼の背中を。



フェイレイは一直線に皇宮を目指して走っていた。

あちこちで火の手が上がる街のすべてに神経を張り巡らせ、敵の攻撃をかわし、自分の向かうべきところへ向かっていた。

そこへ連合軍の戦艦より通信が入る。


『皇都民発見! 大陸北西にあるギルドにいる! ギルドが民を護っている!』


ずっと連絡が取れず、もしかしたら魔王や星府軍に滅ぼされてしまったのではないかと危惧されていた本部、皇都ギルド。

そこの傭兵たちが民を預かり、魔族の攻撃からずっと護っていたらしい。

「良かった……無事な人がいてくれて……」

街の様子から絶望視されていた民の無事が確認され、ローズマリーは心からそう呟いた。

「あそこの人達なら護り通してくれるわ。私たちは先を急ぎましょう」

本部ギルド出身のローズマリーの言葉に、フェイレイとヴァンガードは頷く。

魔王を倒せばすべての人々が救われる。

そう信じて皇宮へ走った。