Faylay~しあわせの魔法

「見事」

アレクセイは微笑みながら、先程フェイレイにされたように、足を鳩尾へ叩き込んだ。

「ぐうっ!」

フェイレイの身体は甲板の上を滑っていく。

滑りながら、アレクセイが追撃をかけてきたのが分かった。掌を甲板につき、身体を回転させながら起き上がる。

起き上がりざまに腰の後ろに下げていた剣の鞘を外し、向かってくるアレクセイに投げつける。

それを真っ二つに斬られている間に一気に間合いをつめ、懐に飛び込んで鼻っ柱に拳を叩きつけた。

だが、その拳を身体を反らしてかわしたアレクセイは、後ろに飛んで一回転し、着地する前には剣から風の刃を放っていた。

フェイレイの脚力をもってしても、避けきれない。

見えない刃は無数に身体に傷をつけていった。

身を護る剣は砕けた。武器はこの拳しかない。

(どうすんだ──)

考えても考えても、アレクセイに勝てる方法が見つからない。

それでも負けるわけにはいかないのだ。フェイレイの後ろには、アライエルの人々と、仲間たちがいる。

軍を動かしているアレクセイを倒せば指揮系統が乱れ、皇都へ追い返すことが出来る。

だから、負けるわけにはいかないのだ──。


いつでも、どんなときでも決して諦めない心で戦い続けることが、フェイレイの専売特許だ。

しかしそれだけでは、どうにもならないこともあるのだ。