Faylay~しあわせの魔法

本当に、時間がないのが惜しい。

こんな時でなければ。

こんな状況でなければ──。

もっと純粋に、彼の成長を楽しめただろうに……。


絶対に勝つと信じ、決して負けないという強い意志を湛えた深海色の瞳を捉えながら、アレクセイは容赦なく剣を舞わせた。

常人の目には見えないほどの凄まじい連撃に、フェイレイは両方の剣で受けるのがやっとだった。

足元の木板が粉々に砕け、ゆったりと動き出した空気の渦の中に吸い込まれて空へ舞い上がっていく。

それを肌で感じながら、フェイレイはジリジリと後退を余儀なくされた。

アレクセイの連撃は、徐々にスピードを上げていく。

どこまで速くなるのだと驚く間も与えられず、必死にそれを受ける。

漆黒の瞳が一瞬、キラリと輝いた。

それにフェイレイが気づいた瞬間。

片手剣とは思えない重量の一撃が繰り出され、それを受け止めたフェイレイの右の剣は、無残にも砕け散った。

その残骸が、目の前で鈍い輝きを放ちながら散っていく。

冷徹なアレクセイの剣は、更にフェイレイの左の剣へ向かった。

剣を折られ、一瞬だけ出来た隙のせいか、それもあっさりと真っ二つに折られた。そして更に頭上から剣を振り下ろされる。

それを。

フェイレイは両手を挙げて、白羽取りにした。