Faylay~しあわせの魔法

「元帥、アライエル王室より通信が入っています」

「応答する必要はない」

「……よろしいのですか?」

「ああ」

アレクセイがそう言い切ったとき。

『アレクセイ!!』

どんな手段を使ったのかは不明だが、アライエル側からの声が管制室に響き渡った。

『アレクセイ、いるのでしょう!? 応えなさい、アレク!!』

「こ、皇后陛下……!?」

オペレーターたちがざわめいた。

アレクセイは静かに目を閉じた後、スッと椅子から立ち上がった。

「逃げていれば良かったものを……そう、大人しくしているお人ではなかったな」

苦笑しながら呟くと、通信ボタンを押した。

司令室のモニターいっぱいに、ローズマリーの美しくも怒りに歪んだ顔が映し出される。

『惑星の民を守護するはずの星府軍が、何故何の罪もない人々を攻撃するのです? 今すぐ撤退なさい!』

「皇帝陛下のご命令です」

『カインはそんなことを望みません! それくらい、貴方になら分かるでしょう!』

ダアン、と何かを叩き付けるような音が響く。

正面から睨みつけてくるローズマリーを、アレクセイも正面から見つめた。

「ええ、分かりますとも。カイン様がこのような所業を許すはずもないことは。だが……それが何だというのだ」