Faylay~しあわせの魔法

あれ以来まったく両親とは連絡を取ってないが、この国にいてオースター島の悪い情報は聞こえてこないから、ランスはきっと大丈夫だとフェイレイは信じていた。

アリアのこともきっと大丈夫だと信じている。

セルティアとは連絡が取れない。

そうランスから聞かされてからも、アリアの強さを信じていた……。




星府軍の戦艦ティル・ジーアは、アライエルの遥か上空を飛行していた。

真っ青な空からは強い日差しが照りつけているが、眼下に見える一面の暗雲の下は、目も開けていられないほどのどしゃ降りであろうことが想像に容易かった。

そしてその下にいるのであろう人々の顔を思い浮かべる。

「もうすぐヴァルトです、元帥閣下」

オペレーターの声に、アレクセイは顔を上げた。

「王都に入り次第、主砲発射。徹底的に街を破壊しろ」

その声に、管制室がざわめいた。

「警告は……」

「しなくて良い」

「ですが」

「アライエルに慈悲はかけるな。これは皇帝陛下の勅命である」

それを聞き、一応は押し黙る兵たちであったが、胸の内は戸惑いが渦巻いていた。

これまで皇帝陛下──惑星王の命のもと、各地の国々を攻撃してきた星府軍の兵士たちでさえ、昨今の自分らの在り方に疑問を抱いているのだ。

いかに罪を裁くためとはいえ、平民まで巻き込むのはやり過ぎではないのか──。