Faylay~しあわせの魔法

簡単に信用してもらえるほど、この国にとって『勇者』が大きな存在であるのだ。フェイレイはランスロットに感謝の念を抱いた。

「我がアライエル国は、全力で陛下と殿下をお護り致します。どうかお2人とも、この城から出られませんよう」

「だけど……」

リディルもローズマリーも、心配そうに眉を顰める。

「『魔王』と戦うのは、『勇者』を輩出した我が国の役目でありましょう。本当に……今お前がこの国を訪れたのは、何かの導きなのかもしれんな」

イライザはフェイレイに微笑みかけると、ドレスの裾を翻して歩き出した。

「いきなり攻撃してくることはないだろうが、用心に越したことはない。ユージン、街の防御壁を強化させろ。民に万一のことがあってはならん」

すぐ後ろをついてくるユージンに、そう指示を出す。

「分かりました」

「それから……」

言いながらイライザとユージンは応接室を出て行った。残された侍女たちも不安な顔で彼らについていく。

「……もしアレクセイが乗っているのなら、いきなり攻撃を仕掛けてくるなんてことはないと信じたいですわね」

「どうかな。セルティアもいきなり攻撃されたぞ」

リディルもヴァンガードも、ローズマリーには悪いと思いつつ、一様に厳しい面差しで頷いた。

「でしたら、私が直接アレクセイと話して、彼を止めます」

ローズマリーは力強い瞳でそう言った。

それで星府軍が攻撃を仕掛けてこなければ良いのだが……。

フェイレイはセルティアと、オースター島にいるはずの両親の顔を思い出した。