Faylay~しあわせの魔法

「……危険だけど、それが一番、良いのかしらね」

少し不安そうではあるが、ローズマリーは頷いた。

世界が崩壊への道を歩み始め、絶対的な守護と安住の地がない今、前に進むことが最善の策なのかもしれない。

「分かりました。皆さん、一緒に来ていただけるかしら」

「うん」

フェイレイとリディルは同時に頷いた。

「……ああもう、分かりましたよ! 暴走する貴方たちを援護するのも僕の役割です。行きますよ!」

ヴァンガードは苛つきながらも、そう覚悟を決めた。

「ありがとう、ヴァン」

全員から礼を言われ、ヴァンガードは複雑な表情をしながら与えられている部屋へと向かう。

行くべき場所が決まったのだから、すぐに出立の準備を始めなくてはならないからだ。アライエル王と接見した後、すぐにこの国を発った方がいいだろう。


部屋に戻ったフェイレイは、素早く装備を整えると、海上にいるキャプテン・ブラッディへ通信を送った。

彼らは王都ヴァルトに程近い、東の海上にいるらしい。すぐに迎えに行くと返事があった。

「じゃ、よろしく頼む」

右手首にはめている通信機のスイッチを切ろうとすると、それを止めるようなブラッディの声が聞こえてきた。

「ん? どうかした?」

『あ、いや……お前さん、何も……聞いてないか?』

「何を?」

『……聞いていないのならいいんだ。すまねぇ、急いでるんだったな。こっちも全速で向かうから』

「うん、よろしく」

キャプテン・ブラッディが何を伝えようとしていたのか、分からないままに通信を切る。