Faylay~しあわせの魔法

リディルの言葉に、ローズマリーは眉根を寄せた。

「ちゃんと伝わってませんわよ、フェイレイくん。何をやっているのですか」

横を向いてチッと舌打ちしてから、ハア、と溜息をつく。

「でもね、好きでもない子に、いくら心配してるからってキスはしませんわ」

「そうですよ」

思わず侍女たちからもそう声が漏れる。そして「出過ぎたことを言いましたー!」と勢い良く頭を下げられた。

「でも……よく、分からない」

リディルは長い睫毛を伏せる。

「どうしたらいいのか、分からないもの……」

翡翠の瞳を戸惑いに揺らし、ほんのりと頬を染めるリディルを見たローズマリーと侍女たちは、きゅん、と胸を高鳴らせた。

なんて純な。

なんて愛らしい。

彼女たちの胸の内で、『リディルを応援し隊』が結成された。

「そんなこと、簡単ですわよ」

ローズマリーは微笑んだ。

「己の心のままに、想いを伝えなさい。ついでに、どーんと胸の中に飛び込んでおけばよろしいですわ」

「え、そ、そんな」

リディルはブンブンと首を振る。ゆるくウェーブをつけられた髪が、ふわふわと揺れる。