『もう少しこっちへ、力が届かない』
「了解っ……」
言いながら、右から飛んできた鋭い爪を持つドラゴンの手を交わす。しかし、左に飛んだところにドラゴンの左手が待ち構えていた。
「くうっ」
避けきれずに、左手の爪に背中を抉られた。多少の攻撃なら一切受け付けないマントが、ビリビリに引き裂かれる。
少しよろけた隙に、更に右手が襲い掛かった。
跳ね飛ばされ、僅かな痛みを感じながら岩盤の上をゴロゴロと転がり、岩壁にぶち当たる。
「フェイレイさん!」
ヴァンガードが顔を上げたときには、すでにフェイレイは立ち上がって向かってくるドラゴンを見据えていた。
「フェイレイさん、怪我を!」
「大丈夫、リディルが」
破れたマントの隙間から、淡い碧の光をまとった森の精霊フォレイスたちが、次々に潜り込んでいくのが見えた。
「見えないのに……」
正確に精霊を送り込んでくるのか。
ヴァンガードは、ただそのことに驚いた。
しかし驚いている暇はないのだ。すぐ目の前に迫ったドラゴンは、目を血走らせながら尻尾を振り回した。
フェイレイはヴァンガードの首根っこを掴むと、横に飛んでそれをかわした。
転がった先は、入ったら迷子になるという、無数に広がる狭い坑道だった。
「了解っ……」
言いながら、右から飛んできた鋭い爪を持つドラゴンの手を交わす。しかし、左に飛んだところにドラゴンの左手が待ち構えていた。
「くうっ」
避けきれずに、左手の爪に背中を抉られた。多少の攻撃なら一切受け付けないマントが、ビリビリに引き裂かれる。
少しよろけた隙に、更に右手が襲い掛かった。
跳ね飛ばされ、僅かな痛みを感じながら岩盤の上をゴロゴロと転がり、岩壁にぶち当たる。
「フェイレイさん!」
ヴァンガードが顔を上げたときには、すでにフェイレイは立ち上がって向かってくるドラゴンを見据えていた。
「フェイレイさん、怪我を!」
「大丈夫、リディルが」
破れたマントの隙間から、淡い碧の光をまとった森の精霊フォレイスたちが、次々に潜り込んでいくのが見えた。
「見えないのに……」
正確に精霊を送り込んでくるのか。
ヴァンガードは、ただそのことに驚いた。
しかし驚いている暇はないのだ。すぐ目の前に迫ったドラゴンは、目を血走らせながら尻尾を振り回した。
フェイレイはヴァンガードの首根っこを掴むと、横に飛んでそれをかわした。
転がった先は、入ったら迷子になるという、無数に広がる狭い坑道だった。


