──キミの頭の中は、実に分かりやすい

道化師はほくそ笑んだ。

彼の中には憎らしいほど輝かしい、真っ直ぐな想いが溢れている。大切なもので埋め尽くされている。

その中で彼が最も大切にしていて、愛しくて、慈しんでいる存在ならば。

その姿、微笑み、声でなら、より一層操りやすくなる。


フェイレイの目の前にいるリディルは、柔らかな微笑みを浮かべたまま彼の深海色の瞳を見つめ、翡翠の瞳を赤く濁らせた。

「フェイ」

名を呼ぶその声に反応するかのように、翡翠の瞳を見つめるフェイレイの深海色の瞳も赤く染まる。

「フェイ、大好きだよ。だから……ね」

彼の頬に添えている両手を首に回し、ふわりと優しく抱きしめる。そして耳元に囁いた。

「ここにいる人たち……みんな、倒してちょうだい」



フェイレイはリディルの背にゆっくりと手を回した。

いつもは澄んでいる深海色の瞳を、赤く、濁らせて。