道化師はほくそ笑みながら剣の通り道を開けてやる。
思ったとおり、剣は脳内に描かれた軌跡と寸分違わず同じ道を通っていった。
──激しい、痛みとともに。
「──う!?」
道化師は目を見開いた。
フェイレイの剣は、道化師が道を開ける“前”に通り過ぎようとしていた。
分断されるのは免れたが、銅の半分はやられた。
グラリと身体が傾き、片足が土の上へと落ちる。そこへ更に剣が襲い掛かってきた。
単純な袈裟懸け斬りだ。読みどおりに剣は軌跡を描いた。間違いなくここへ来ると分かっていた。
なのに──。
道化師は目を見開いたまま後ろへ倒れていった。ドサッと草むらの中へ身を沈める。
爆発の名残の残る赤い夜空を見上げながら、道化師は静かに呟く。
「キミ……左利き、だったんですね」
初め相対したとき、フェイレイは右に剣を持っていたはずだった。それがいつの間にか左手に剣が握られていたことに、今、気づいた。
「ん? ……あれ、いつの間に」
フェイレイ自身も、無意識に持ち替えたらしい。
どうしても倒せない強敵を相手にし、倒すためにはどうすればいいのか、頭で考えるより先に身体が動いていたのだ。
結果、スピードが段違いに増し、道化師がその動きを読むより速く剣を振るっていた。
剣の軌跡を読むことだけに専念しすぎて、目の前で行われたことを見ていなかった。それが道化師の敗因だった。
思ったとおり、剣は脳内に描かれた軌跡と寸分違わず同じ道を通っていった。
──激しい、痛みとともに。
「──う!?」
道化師は目を見開いた。
フェイレイの剣は、道化師が道を開ける“前”に通り過ぎようとしていた。
分断されるのは免れたが、銅の半分はやられた。
グラリと身体が傾き、片足が土の上へと落ちる。そこへ更に剣が襲い掛かってきた。
単純な袈裟懸け斬りだ。読みどおりに剣は軌跡を描いた。間違いなくここへ来ると分かっていた。
なのに──。
道化師は目を見開いたまま後ろへ倒れていった。ドサッと草むらの中へ身を沈める。
爆発の名残の残る赤い夜空を見上げながら、道化師は静かに呟く。
「キミ……左利き、だったんですね」
初め相対したとき、フェイレイは右に剣を持っていたはずだった。それがいつの間にか左手に剣が握られていたことに、今、気づいた。
「ん? ……あれ、いつの間に」
フェイレイ自身も、無意識に持ち替えたらしい。
どうしても倒せない強敵を相手にし、倒すためにはどうすればいいのか、頭で考えるより先に身体が動いていたのだ。
結果、スピードが段違いに増し、道化師がその動きを読むより速く剣を振るっていた。
剣の軌跡を読むことだけに専念しすぎて、目の前で行われたことを見ていなかった。それが道化師の敗因だった。


