Faylay~しあわせの魔法

道化師は周りを飛び交うカラフルボールをフェイレイに向かって放った。

それだけなら紙一重で避けられることが出来たのだが、道化師はナイフを取り出した。

自分に向かって投げつけるつもりかと身構えたが、ヒュッと音を立てて投げられたナイフが貫いたのは、カラフルボールの方だった。

ドン、ドドン、と爆発が爆発を誘発し、フェイレイは爆風と炎に包まれる。

「……ほう」

しかし道化師は感嘆の声を上げた。

マグマのような赤々とした灼熱の地獄の中から、弾丸のようにフェイレイが飛び出してきた。

「考えたって倒せないなら!」

ぐ、と地面を蹴り、道化師の目の前に突っ込む。

「全力で、やる!」

斜め下から振り上げた剣は、やはり見切られていた。道化師は顔色ひとつ変えずに身体を分断させ、それをやり過ごす。

次の軌跡は見えていた。

フェイレイの脳裏に描かれる軌跡は、光る糸のようになって道化師の目にも見える。

道化師の身体を通り抜けた切っ先はくるりと円を描くようにして、更に反対側の下からまた振り上げられる。

道化師はそのように身体を割った。

するりと剣が身体の間をすり抜けていく。

次は、身体を回転させて勢いをつけて、真横に一文字──。


分かりすぎるほど分かりやすい。

あまりにも単純な脳内だった。