Faylay~しあわせの魔法

2、3度瞬きをする間の出来事だ。

ヴァンガードは目を丸くし、リディルもほっと息をついた。

「……驚いたな」

シルヴァも腕組みを外し、目を丸くしている。

「合格ですわ。訓練の成果が出ていますね」

ローズマリーだけが、ニコニコと笑顔を見せている。

「でも出来るなら、こういう場所では抜刀しないでくださいね。この後も戦闘が続くのなら、やはり長剣は不利なのですから。こういう狭い場所での戦闘を考慮して、短剣を仕込んでおくこと、考えた方が良さそうね」

「はい」

剣を鞘に収め、フェイレイは敬礼した。すっかりローズマリーが師となっている。

「それで……これは、何の真似でしょう。返答次第では、タダでは済みませんけれど」

ヴァンガードとリディルの前に出て、ローズマリーは穏やかに言った。口元はたわんでいても、細められた瞳からは、鋭い気が放たれている。

「申し訳ございません。相当腕が立つようでしたので、試させていただきました。いかがでしょう、ひ……お嬢様」

「良いだろう。彼らに決める」

「承知いたしました」

執事は軽く一礼すると、フェイレイたちに向き直った。

「無礼を承知でお願いしたいことがございます」

「何?」

「我々と一緒に、誘拐事件の犯人を、捕まえて欲しいのです」