Faylay~しあわせの魔法

「貴女の勇者様は、護衛官には向きませんわねぇ」

クスリと笑いながら、ローズマリーはリディルに言う。

「人柄は、好感が持てますけれど」

リディルは視線だけをローズマリーへやり、無言で静かに立ち上がった。一呼吸置いて、ローズマリーも立ち上がる。

開けっ放しになっている食堂のドアを抜けると、フェイレイとヴァンガードが待っていた。

少し苦笑しているフェイレイと、少し怒っているヴァンガードは2人の姿を見ると、先に立って歩き出した。

すぐに二階へ通じる階段があり、そこを上ると右側一面が窓、左側一面に客室のドアが並ぶ。

だいぶ霧の晴れてきた空から、弱々しい明かりが差し込む静かな廊下に足を踏み入れると。

その奥で、シルヴァと執事がこちらを睨み据えるようにして立っていた。

「あ」

思わず声を漏らして足を止める。

執事が丁寧にお辞儀をした。

「先程は、失礼をいたしました」

「あ、ええと……こちらこそ、なんか、偉そうにすみません」

フェイレイも執事に頭を下げ返した。

「お前たち、ギルドの傭兵か」

シルヴァは腕組みをした不遜な態度で言葉をかけてきた。柔らかい明かりを受けて、銀色の長い髪が眩い光を放っている。