Faylay~しあわせの魔法

(うわああ、うわああ)

心の中でジタバタ暴れていると、リディルのすぐ近くにある木の幹に寄りかからせられた。やや乱暴だったので全身に鈍い痛みが走り、思わず呻き声を上げた。

「……あの?」

リディルは顔面血だらけ、全身もボロボロのフェイレイを見て、どうしてこんなことになっているのか、という疑問を含んだ視線をローズマリーに向けた。

それに対し、ローズマリーはにこやかに笑った。

「だって、フェイレイくんたら、私の胸を鷲づかみにするのですもの。思わず本気でボッコボコにしてしまいましたわ」

うふふ、と笑いながら、とんでもない爆弾を投下された。

「……ふうん」

リディルの冷ややかな視線が、フェイレイの身体を凍りつかせる。

(ううう、なんの罰?)

ローズマリーには自分の弱さを思い知らされ、ワザとではないけれどむにむにしてしまって本気で殴られ、屈辱のお姫様抱っこで戻ってきてみれば、好きな子が他の男を膝枕。

(ホントに、なんの罰だよー!)

突き刺さるような軽蔑の視線に、泣きたい気分である。


ローズマリーが今度はヴァンガードをお姫様抱っこし、テントへ連れて行った。仲間が出来たことにちょっとだけほっとする。

しかし。

パチ、パチ、と音をたてる焚き火の前に訪れる沈黙が──痛い。

鼻を押さえ、チラ、とリディルを見ると、冷ややかな視線とぶつかった。