さあっと血の気が引いていく前に、骨を砕く勢いの拳が顔面に叩きつけられた。
「てめぇ、死にてぇのか。あァ?」
鬼の形相の美女からそう問われ。
「死にたくないけど、もう、死にそうです……」
ドクドクと鼻から大量に血を流しながら、蚊の鳴くような声でなんとかそう返した。
大人しくしろ、と怒られて、罰としてお姫様抱っこでテントまで運ばれた。
顔から火が出るほど恥ずかしくて、両手で顔を覆い隠していると、パチパチと焚き火の爆ぜる音がして、指の隙間からそれに目を向けた。
すると大木に寄りかかり、焚き火の前でうとうとと頭を揺らしているリディルが見えた。
そのリディルの膝の上には、ヴァンの頭が乗っている。
おそらく連日続いた訓練で疲れが出て、警護するべきはずのリディルの膝の上でうっかり眠ってしまったのだろう。
けれどフェイレイには、その状況を瞬時に理解するほどの心の余裕がなかった。
人の気配に気づいて目を開けたリディルが顔を上げ、フェイレイと目が合った。しばらく無言で視線が交わされる。
お互いに軽く目を見開き、言葉が出てこない。
「あら、ヴァンくん、眠ってしまったのね」
微笑みながらローズマリーがそう言うので、我に返る。
「私がテントに運びますから、貴女、フェイレイくんを診て下さるかしら」
「……はい」
リディルはフェイレイに視線を釘付けにしたまま、頷く。
そのリディルの視線で、膝枕に衝撃を受けていた頭が、ローズマリーにお姫様抱っこをされているという恥ずかしい現実を思い出した。
「てめぇ、死にてぇのか。あァ?」
鬼の形相の美女からそう問われ。
「死にたくないけど、もう、死にそうです……」
ドクドクと鼻から大量に血を流しながら、蚊の鳴くような声でなんとかそう返した。
大人しくしろ、と怒られて、罰としてお姫様抱っこでテントまで運ばれた。
顔から火が出るほど恥ずかしくて、両手で顔を覆い隠していると、パチパチと焚き火の爆ぜる音がして、指の隙間からそれに目を向けた。
すると大木に寄りかかり、焚き火の前でうとうとと頭を揺らしているリディルが見えた。
そのリディルの膝の上には、ヴァンの頭が乗っている。
おそらく連日続いた訓練で疲れが出て、警護するべきはずのリディルの膝の上でうっかり眠ってしまったのだろう。
けれどフェイレイには、その状況を瞬時に理解するほどの心の余裕がなかった。
人の気配に気づいて目を開けたリディルが顔を上げ、フェイレイと目が合った。しばらく無言で視線が交わされる。
お互いに軽く目を見開き、言葉が出てこない。
「あら、ヴァンくん、眠ってしまったのね」
微笑みながらローズマリーがそう言うので、我に返る。
「私がテントに運びますから、貴女、フェイレイくんを診て下さるかしら」
「……はい」
リディルはフェイレイに視線を釘付けにしたまま、頷く。
そのリディルの視線で、膝枕に衝撃を受けていた頭が、ローズマリーにお姫様抱っこをされているという恥ずかしい現実を思い出した。


