Faylay~しあわせの魔法

カードを切りながら、ローズマリーの顔をチラリと見上げる。

大きな赤い瞳も、ふっくらとした唇も、とても魅力的なのだけれども。リディルに感じる心の甘い痛みを、この人には感じない。

やはりそうなのか、と溜息が出る。

気づきたくなかったな、とも思う。

今この状況で、この立場で。何が出来るというのだろう……。


「なるほどねぇ~。これなら私にも出来そうですわ」

ヴァンガードの手順を見ていたローズマリーは、パチン、と胸の前で手を合わせた。

「ヴァンくん、私にもやらせてくださいな。今度は私が占って差し上げます」

「はあ……」

ローズマリーが覚束ない手さばきでカードを切り、テーブルに並べていくのをぼんやりしながら眺める。

促されるままにカードを一枚手にし、めくってみると。

「まあ。ヴァンくん、叶わない恋に苦しんでいらっしゃるのね」

いきなりそう言われた。

「え」

ビクリと肩を揺らし、しまったと思う。

片肘を付きながらカードを手にしたローズマリーは、にこりと微笑む。

「でも無理に隠す必要はありませんわ。自分の気持ちに背くことほど辛いことはありませんもの」

「え、いや、あの」

ヴァンガードは自分のひいたカードは何だったかと、よく見もしないで渡してしまったことを後悔しながら、ローズマリーの手の中でヒラヒラしているカードを必死に目で追う。