Faylay~しあわせの魔法

そんな2人を、テントの入り口に顔だけ出して見守る4人。

「お2人は恋人同士なのですね。羨ましい~」

一番上から覗く少女が顔を赤らめる。

「違いますよ」

そのすぐ下で、つーんと澄まして言うヴァンガード。

「似たようなものですわ」

うふふ、とローズマリーは笑う。

「若いモンはええのぅ~」

ひゃっひゃっと老婆は前歯の欠けた歯を見せて笑う。

まだ草原の上を流れていく霧で周りが良く見えないことをいいことに、かわいらしくも微笑ましい抱擁を見放題である。

「遅いから呼びに行こうと思いましたけれど、今声をかけるのは無粋ですわね」

「そうじゃな。しばらく離れそうにないから、ここで茶でも飲みながら見学しとくか」

「まあ、そうしましょう」

「ではお茶をご用意しますね」

入り口付近でお茶を飲もうという女性たちに、ヴァンガードは軽蔑の視線を向けた。

「……十分に無粋ですよ、それ」

しかし女3人に囲まれて、小さな少年が逆らえるはずもなく、見たくも無いものを見せられながらお茶を頂くこととなる。

そしてしばらく経ってから、見世物になっていることに気づいたフェイレイとリディルが、顔を真っ赤にして怒るのだった。