カインを救うには、アレクセイでは力不足だ。そのことは自分で良く分かっていた。

けれど、偶然にセルティアで見つけた赤髪の少年こそ、アレクセイを越えられる唯一の人物。

カインを助けられるかもしれない、唯一の人物。

「早くここへ来い。カイン様が、ここに留まっておられるうちに……」

なんと身勝手な想いだろうか。アレクセイはそうまでして護ろうとする自分に、嫌気が差していた。

しかしそれ以上に愛しい。

愛しくて仕方がないのだ。

「ローズ……」







求めたのは、愛しい人の“しあわせ”。

それぞれが、それぞれ想う人の、決して大きくはない、ささやかな“しあわせ”を願っていた。

けれど、その“しあわせ”を願う心が、みんな同じ方向を向いているとは限らない。

何故、こんなにも歪んでしまったのか。

交わらない想いは、誰かを哀しませ、傷つけ合うだけ。



そして。



この世界を、破滅へと導いていく──