Faylay~しあわせの魔法

ランスはふっと笑みを漏らすと、ゆらゆらと揺れる暖炉の火に目を細めた。

「父さんは、母さんの竹を割ったような性格が好きなんだ。いつでも真っ直ぐで、嘘がない。ちょっとツンデレぎみなところがあってね。そこがまたかわいいんだよ。そういえば、昔のアリアはリディルに似てるなぁ」

「ええ!?」

フェイレイはまた声を上げた。リディルは「そうなの?」と目線だけを上げる。

「もう少し、口調が乱暴だったけどね」

ランスは楽しげに笑いながら、フェイレイに視線を向けた。

「……リディルも母さんみたいになるの?」

「さあ、それはどうかな?」

今度はリディルに視線をやる。

リディルは少しだけ、首を傾げただけだった。

「そういえばお前たち……」

ランスが改まった言い方をしたので、2人は耳を澄ませた。しかし、なかなか次の言葉が紡がれない。

「何? 父さん」

待ちきれずにフェイレイが訊ねると、ランスはゆっくりと首を振った。

「いや……この話は、また次の機会にしよう」

「え、何? 気になるんだけど」

「今度ね」

ランスがリディルに視線を向けると、彼女もやはり不服そうな顔をしていた。だが、今話そうとしたことは胸の内に止め、代わりに子供たちの名前を呼んだ。

「フェイ、リディル」

そして、2人の頭を撫でる。