Faylay~しあわせの魔法

足を暖炉に向けて、3人は寝転がった。

「こんなこと、子供のときでもなかったよな」

フェイレイはどこか楽しそうだ。

「子供と一緒にベッドで寝る習慣がないからね」

ランスも楽しそうだ。

そしてリディルも嬉しそうだ。

毛布を被り、2人の大きな子供たちはランスに擦り寄る。

その状態で、思い出を語り合った。

フェイレイが生まれたときのこと。リディルが家に来た時のこと。一緒に旅行をしたときのこと。

そういう話を、ずっとランスが語っていた。

フェイレイとリディルは、ときどき合いの手を入れるだけで、頬を緩ませながらジッと話に耳を傾ける。

アリアとの結婚当時の話も出た。

「ずっと不思議だったんだけど。なんで父さんは母さんと結婚したの?」

「何故だい?」

「母さん、暴力的だろ? 父さんは優しいし。合わないんじゃないかと思って」

「そうかな。父さんには母さんがピッタリだと思うけどね。はっきりと意思表示出来て、決断力のあるところなんか、父さんにはないものだから、母さんがいないとね。それに……母さんはかわいいしね」

「……ええ?」

フェイレイは眉を顰めた。けれど、リディルは密かにこっくりと頷いた。

「母さんがかわいい? どこが?」

「お前も失礼なヤツだな。母さんに言うよ?」

「それは勘弁して」