Faylay~しあわせの魔法

湖での釣果は素晴らしいもので、バケツ3つ分に様々な大きさの魚たちが凍り付いて入っていた。

それを全部使った夕食は大層なご馳走になった。

今後のことを考えれば、外の気温のように心が凍り付いてしまいそうだった。けれども、あえてそれを表に出さず、目の前に並ぶご馳走を肴に、話に花を咲かせた。

自分たちは自分たちの意思でここまで来たのだ。今更思い悩んでも仕方ない。

それでも不安は残り、夕食後落ち着いてからも、しばらく暖炉の前で談笑する姿が見受けられた。

見えない明日への不安をかき消すように笑みを作り、語らう。

夜も更けて、やっとそれぞれの寝床に足を向ける中、リディルはランスの傍に残った。

「父さん」

「なんだい?」

「……今日は父さんと、一緒に寝ても、いい?」

明日にはランスとも離れ離れだ。

離れたら、もういつ逢えるのか分からない。アリアとの急な別れもあり、リディルは少し甘えたい気分になっていた。

「うん? それは構わないけれど」

ランスはフェイレイを振り返った。

「……フェイは、父さんの向こう側」

無表情にランスの向こう側へ行けと、リディルは言う。

「はーい」

2人とも年頃なので、離れて寝るのは当たり前のことなのだが、そうはっきり言われると少し寂しいフェイレイである。