Faylay~しあわせの魔法

「だけど……ちゃんと考えなかったから。自分の力量も知らずに、無茶をしたから、みんなに心配かけちゃったね。それじゃ……駄目、だよね」

薪小屋のドアを開けたところで、リディルはヴァンガードを振り返った。

「心配かけて、ごめんね。もっと、強くなれるように、頑張るから」

真っ直ぐに向けられた翡翠の瞳は、すぐに逸らされた。

けれどもその力強い意志の篭った瞳は、ヴァンガードの胸に強く焼きついた。

「……はい」

返事をしながら、胸を押さえる。

「あの……リディルさんは、僕は、どうしたら良いと思いますか?」

リディルの瞳が、再びヴァンガードを捕らえる。

「僕は……リディルさんと、一緒に行った方が……良いですか? それとも、足手まとい、でしょうか……」

リディルはジッとヴァンガードを見つめた。

吐き出される白い息が、2人の間にある空間を埋める。

「……私に、決めて欲しいの?」

「えっ?」

ヴァンガードが心外そうに目を丸くしたので、リディルは静かに息を吐き出した後、口を開いた。

「“私”の意見。……ヴァンは、ここに残った方がいい。フェイの父さんと一緒にいるのが、一番、いいよ」

ヴァンガードは視線を彷徨わせながら、俯いた。