Faylay~しあわせの魔法

翌朝、やはり外は暗かったが、全員が早くから目を覚まし、空に浮かぶ緑白色のカーテンを窓越しにしばらく眺めたあと、ランスの食事の準備を手伝った。

朝食の後でバングルに新しいIDチップを埋め込んでもらい、ここでの一応の目的は達成した。

「ひとつの街を通り抜ける度にIDが変わるように設定してあるからね。これで少しは追跡を免れられると思うよ。それから、僅かだが軍資金も入れておいたから、必要なときは銀行で引き出しなさい」

「ありがとう父さん。……あとは、これからどうするか、だよな」

星府軍から逃げ続ける。

それは容易なことではない。

名前を変え、姿を隠したところで、いずれは見つかってしまうだろう。

「セルティアギルドのように、匿ってくれる場所はもうない。移動し続けるしかないだろう」

オズウェルの言葉に、みんな頷く。

「私とビアンカは、君達とは別行動を取らせてもらう。ヴァンガードは……」

オズウェルの視線に、ヴァンガードは俯いてしまう。

「……ヴァンは? どうする?」

顔を覗き込むようにしてフェイレイが訊ねると、ヴァンガードは俯いたまま、首を横に振った。

「明日の朝までには、答えを出します」

「うん、分かった。……それで、今後の行き先だけど……どうするかなー?」

「西と南の大陸は、大国を潰されて魔族の住処となっているそうですわ。一番安全なのは、まだ星府軍の攻撃を受けていない北ですわね」

「なら、最初はアライエルかな。……でも、北にばかりはいられないよな。いずれは西や南へも。東に行って、セルティアの様子も見たいけど」

「それはやめた方がいい」

ランスが割って入った。