Faylay~しあわせの魔法

暖炉の前に並んで寝転がったフェイレイとランスは、目を瞑りながらも眠りに落ちることは出来ないでいた。

「……父さん」

暖炉の火がパチパチと燃える音だけが響く静かな部屋で、フェイレイも静かに声をかける。

「うん?」

「母さん、大丈夫かな?」

旅をしている間は、少なからず命の危険に晒されている。

それに、リディルを護らなければならないという使命感もあるため、極力考えないようにしてきたが、もう一人の肉親に会ったことで、アリアを心配する気持ちが一気に膨れ上がった。

「セルティアとは連絡が取れない。情報も入ってこない」

ランスはなるべく感情を出さないよう、静かに告げた。

「……そうなんだ」

パチン、と暖炉の火が爆ぜる音が静寂の中に響く。

それきり、しばらく無言になった。

互いの胸の中に、母であり、妻であるアリアの姿が浮かぶ。

「でも、精霊たちが戻ってきてた。……星府軍が退いたんだ、きっと」

「そうか……」

パチパチン、とまた火が爆ぜる。

「だからきっと、母さんも、セルティアも大丈夫」

フェイレイの祈るように囁かれる言葉に、ランスは穏やかな笑みを浮かべる。

「お前がそう言うのなら、きっと、母さんも無事だよ。……きっとね」

「うん」

「疲れただろう。もう、今日は休みなさい」

「……うん」

瞼を閉じて、無理に眠ろうとする息子の気配を感じながら、ランスも静かに目を閉じた。

グッと、拳を握り締めて。