Faylay~しあわせの魔法

「なんのためにあんなに苦労したんですか」

「寒かったですわね」

「疲れたしな」

「本当に」

非難の声に、フェイレイが助けを求めるようにランスを見上げる。

「ハア~。フェイ、母さんがリディルにそんな危険なルートを用意すると思うかい?」

少し乱れた金髪の頭に手をやり、溜息交じりにそう言うランスに、フェイレイは力なく項垂れた。

「……思わない」

「だろう? このルートは村人以外には知られていない、秘密のルートだから、その船長さんが知らなかったのは無理もない。これはお前の責任だよ。……皆さん、すみません。ウチの息子がご迷惑をおかけして」

「まったくです」

そう言ってフェイレイを責める仲間たちだが、そこに怒りや憤りといった感情はなく、仕方ないな、という笑みが広がっていた。

ランスの用意してくれた温かな料理が、みんなの心も優しく包み込んでくれたようだ。



食事を終えた後、ランスは急な階段を上ったところにある二階にエインズワース家の寝床を、一階の奥の部屋にリディルとローズマリーの寝床を用意してくれた。

狭くて雑魚寝になってしまったが、吹雪の中のテントに比べれば天国のようにも感じられる温かな布団だ。疲れている仲間たちは、一度そこに潜るとたちまち深い眠りについてしまった。