Faylay~しあわせの魔法

「この島に入るにも、アイスクライミングなんてやらされるしさ。リディルもいるのに……」

「アイスクライミング? ……まさか、あの岩壁を登ってきたのかい?」

ランスはフェイレイではなく、リディルを見た。

リディルはこくり、と頷く。そして首を傾げた。

「……父さんは、違うルートを来たの?」

「え?」

フェイレイは目を丸くしてランスを見る。

「母さんの地図にあっただろう? 壁をすり抜けるルートが」

「ええ!?」

その言葉に、フェイレイだけでなく、別の話で盛り上がっていたローズマリーらも振り返る。

「そんな!」

フェイレイは慌てて手首の通信機から地図を広げた。

「だって船長が、他にルートはないっていうから……」

ボタンを押して画面を切り替えているうちに、オースター島の模型のような形が宙に浮かび上がり、島の北端辺りから、赤い点線が伸びていた。

ここから行け、という指示だ。

フェイレイたちが来たのは、船長が教えてくれた東部の一番低い岩壁からだ。

「ちゃんと確認しなかったな?」

ランスの大きな手が、フェイレイの赤い髪をわしゃわしゃと撫でた後、ぐい、と力を入れて鷲づかみにする。

「いてててて、ごめん! みんな、ごめん!」

謝るフェイレイに集まる、仲間たちの冷たい視線。