Faylay~しあわせの魔法

「でも、誰かのために強くなろうとするのは、駄目なのかな?」

精霊たちは、顔を見合わせる。

《向上心があるのは良いことだ》

光の精霊ソラスが、黄色いドレスの裾をひらりと靡かせ、フェイレイの目の前を横切る。

《向上心があるからこそ、人間は飛行艇や戦艦を生み出してきた。それらは人間の英知だ。しかし》

《どんな力も、扱う者の心次第だ》

寒くてたまらない、とフェイレイの首元にしがみ付きながらも、ティナもそう呟いた。

人が自分たちで生み出した力も。

精霊たちの力も。魔族の力でさえ。それを扱う者次第で、何にでも変化する。

「そうだよな。やっぱり『勇者』みたいに優しくて強い心を持つ人にならないと駄目だってことだよな」

常に自分を見失わずに、真っ直ぐに進んでいける強さを身につけなくてはならないのだと、フェイレイは結論付けた。

そこにリディルがすぐ隣にまで上がってきた。軽く息を整えてから、周りを飛び交う精霊たちに目をやる。

「余裕だね」

「ん? うん、これくらいはね。寒くて手足の感覚薄いけど」

「うん」

「リディルは平気? おんぶしようか?」

「……平気だよ」

ハア、と一息ついて、リディルは見えない頂上を見上げる。

「あとどれくらいかな」

リディルの問いに、雪の精霊たちがくるくると白いドレスを翻しながら舞った。

《あと半分ほどだ。登れそうか?》