Faylay~しあわせの魔法

「てか、飛行艇でうまいことここまで来ても、島には入れなかったはずだろ? 俺ならなんとかするって思ってくれてたのかなー。それとも、時間なくて説明出来なかったのかなー。抜けてるよ、母さん」

ブツブツと独り言を喋っていると、下にリディルの影が見え始めた。

「大丈夫ー?」

大声を張り上げると、微かに首を振ったのが分かった。

「下が、遅れてる。でも、先に行けって」

リディルの言葉に、フェイレイは上を見上げた。

まだ頂上は見えない。登り始めてどれくらい経ったのだろうか。このペースだと、2時間では到底無理だ。

「空でも飛べたらいいんだけどな」

思わずそう漏らすと。

《人間には人間の分相応というものがある》

下から押し上げるように風を巻き上げるグィーネが、呆れたような目でフェイレイを見た。

《人間は、大地の上に足をつけて暮らすものだ》

フードの中の火の精霊ティナも、ブルブル震えながらそう言う。

《多くを望みすぎるな。求める力が大きければ大きいほど、制御出来なくなって身を滅ぼす》

「……うん、そうかもな」

氷の壁に張り付きながら精霊に説教されるとは思っていなかったが、フェイレイは素直に彼女たちの言葉を聞いた。

フェイレイの目指す『勇者』について書かれている書物にも、自分たちに過ぎる力──『姫』を求めたから争いが起こり、結果として『姫』を孤独に追い込んだのだと教えている。

誰かを悲しませてまで欲しい力などない。

けれど。