Faylay~しあわせの魔法

「……なんか、吹雪の音に混じって笑い声が聞こえるんだけど」

隣のテントで、フェイレイは眉を顰めながら言った。

「まさか。気のせいですよ」

「そうかなぁ?」

「なんでこんな状況で笑い声が聞こえるんですか」

ヴァンガードが呆れ気味にそう言ったところで、オズウェルが難しい顔で呟いた。

「この辺りには、『雪女』という妖の伝説があると聞くが……まさか」

「妖?」

「見目良い男の魂を好んで食べるそうだ」

「……」

フェイレイとヴァンガードは目を点にした。

しん、と静まるテント内に響くゴウゴウと唸る風の音。耳を澄ませてじっとしていると、風の音の中に女性の笑い声が聞こえてきた。

「ギャー! 俺食われる!?」

フェイレイが叫ぶ。

「えっ、貴方ですか? 貴方が食べられるんですか?」

ヴァンガードは何気に酷いことを言っている。

「ヴァンガード、何があっても父が護るからな」

オズウェルも何気に酷いことを言っている。


明日の過酷な登頂を前に、何故か和みすぎなパーティメンバーだった。