Faylay~しあわせの魔法

「だがもし、危険でもいい、私たちと一緒に行くと言ってくれるのなら……」

「一緒に……行きませんか? ヴァンガード……」

向けられる2人の瞳が、頼りなげに揺れている。

いつも威厳に満ち溢れていた父、そして穏やかながらも凛とした強さを見せていた母の、こんな瞳は初めてだった。

「僕は……」

これからもずっと、両親といられるのだと思っていた。

今もその気持ちは変わらない。ずっと一緒にいたい。

けれど。

船長から聞かされた祖父の最期を思い浮かべ、ヴァンガードは密かに決意していたのだ。

リディルを護る。

それがエインズワースに生まれた者の、運命のような気もしていた。

恐らくクーデターがなかったら皇都にいたはずの自分は、きっと祖父と同じ所を目指していたに違いないのだ。

精霊士にはなれずとも、護るべきものは受け継いだはずだ。

だから、リディルを護ろうと思っていた。フェイレイとともに。

しかしそれは、両親も一緒に来るのだろうと思っていたからで。

ずっと離れることはないと、思っていたからで。

「父上や母上や、皆さんと離れることなんて考えていませんでした。……少し、考えさせてください……」

ヴァンガードはそう言うと、ベッドの中に潜り込んでしまった。

オースター島に着くまであと2日。それまでに答えを出さなければならない……。