次の日の早朝、セルティアギルドを出立した3人は今、南の町エスティーナへ向けて黙々と歩き続けていた。

セルティア王都への道と同じ、高い針葉樹の森をひたすら南へ下る。

その道すがら、ヴァンガードは質問してみた。

「あの、少し質問してもよろしいですか?」

「何?」

愛想の良い笑顔でフェイレイが振り返る。

「僕、フェイレイさんとリディルさんは、ご兄妹だと思っていました。でも、違うみたい、ですね?」

「ああ、うん。違うよ」

「お二人とも支部長のお子さんだとお聞きしていたのですが……」

「うん……」

フェイレイは頷きながら、リディルの顔を伺う。

彼女はフェイレイの視線に気付いて視線だけをこちらへ向けたが、すぐに前を向いてしまった。それを『肯定』だと受け止めて、フェイレイは話を続けた。

「リディルは、10年前に俺が川から助けたの」

「……川から?」

「うん、凄いラッキーだった」

にこりと微笑むフェイレイを、ヴァンガードは訝しげに眺めた。

「ええと……溺れてたってことですか?」

「うん、流れてた」

「流れてた?」

ヴァンガードは眉を顰めた。