Faylay~しあわせの魔法

「カインにとり憑いたものが何者なのか……何があったのか。それを知らなければなりませんね。でも、目下のところは」

「リディアーナ様を護る、だな」

「そうですわね」

ローズマリーは晴れやかな表情で頷く。

「ありがとうございます。貴方のおかげで少し落ち着きましたわ」

華が咲き誇るように笑うローズマリーに、ブラッディは照れたように鼻をかいた。

「よせよ。あんたみたいな美人にそんな笑顔向けられちゃあ、惚れちまうぜ」

「まあ」

ローズマリーはクスリと微笑んだ。

「私に手を出すような真似をいたしましたら、その大きな口に拳を突っ込んで、顎を砕いて差し上げますわ」

「は、はははは」

ブラッディは乾いた声で笑った。

美しく微笑む彼女から出た言葉が、決して冗談ではないことが分かったからだ。

「こえ~な……さすが、カイン様の選んだ女性ですよ……」

ブラッディは顔を引きつらせながら席を立ち、逃げていった。

それを楽しげに見送り、ローズマリーは黒いボトルへ視線をやった。

「必ず、貴方を取り戻します、カイン」