Faylay~しあわせの魔法

リディルのことを任されたフェイレイだが、リディルは疲れているらしく、昼のうちはずっとベッドに臥せっていたので声をかけずにおいた。

夜になって仲間たちと夕食を取るときは起きてきて、何でもないような無表情っぷりで食事を摂ってはいたが。

(いつもの半分)

フェイレイは、ジッとリディルの前にあるメインの魚料理の乗った皿を眺めた。

料理は綺麗になくなってはいたけれど、食べるスピードがいつもの倍かかっていた。

農夫として働いていたランスに、食の大切さと有難さを毎日教え込まれていたフェイレイとリディルは、精魂込めて作られた料理を残すなど、罰当たりなことはしない。

だが、やはり無理して押し込んでいる感がある。

調子が悪いのだろうといえばそれまでだが、おそらく精神的なものが大きいのだろう。食欲はいつもの半分だ。

フェイレイの目算ではそうだった。



会食は表面的には和やかに進み、しばらくしてリディルが席を立ったのを機におひらきとなった。

フェイレイがすぐに立ち上がり、彼女を部屋まで送っていく。

エインズワース親子のそれに続いて食堂を出て行った。

「大丈夫かな、リディアーナ様は」

仲間たちと同席していたブラッディは、グラスに入ったぶどう酒を傾けながら席に残ったローズマリーへ視線を流した。

「そうですわね……。フェイレイくんがいれば、大丈夫だと思いますけれど」

そう言う間に、ブラッディは黒いなで肩のボトルを給仕係から受け取り、ローズマリーのグラスへそれを傾けた。