Faylay~しあわせの魔法

「およよ、逆プロポーズか。やるな、カイン様」

サイラスがニシシ、と笑いながらからかうと、クライヴがにこやかに微笑みながら、鋼の精霊スティルを召喚した。

針のような剣を持った彼女たちは、彼の背中をグサリと刺す。

「いってえ! ジジイ!」

「ほっほほほほ。かわいらしい想いをからかってはいかんぞ。優しく見守りなさい」

「ジジイは俺に優しくしろ!」

なんて騒ぐ外野は放っておいて、カインはうーん、と考えると、リディアーナを抱き上げ、膝に乗せた。

「お嫁さんにはしてあげられないけど……あとは、一緒に出来るよ」

「およめさん、だめ?」

リディアーナは哀しげに眉尻を下げる。

「うん。あのね、兄妹は結婚出来ないんだ。でも哀しまないで。リディアーナと私は、死ぬまで血の絆で結ばれている。それはずっと変わらないものだよ」

「……ずっといっしょ?」

「そう、ずっと一緒」

「それなら、うれしい!」

リディアーナはカインに首に腕を回し、ギュッと抱きついた。

「リディアーナは、おにいさま、だいすき!」

「私も好きだよ、リディアーナ」

そう言い合う2人を、シャンテルやクライヴは微笑ましく見守る。

「リディアーナは他に兄弟がいないので、カイン様が来てくださるのが本当に嬉しいようです」

「そうか。それなら私も嬉しい。……リディアーナ。お魚、取りに行こうか?」

「うん!」