Faylay~しあわせの魔法

「お気遣いありがとうございます、カイン様。ですが、私たちは今の暮らしが、一番幸せなのです」

そう言ってシャンテルは微笑んだ。

しかし、それでも何かしてやりたいと思う。

「何か、私に出来ることがあれば……」

カインの申し出に、シャンテルは優しく微笑んだ。

「カイン様は、本当に陛下に似ていらっしゃるわ。お姿だけでなく、お優しい心までも」

シャンテルはそう言うと、自分の腰にべったりくっついているリディアーナに目を向けた。

「そうですね。カイン様が、私たちに何かしてくださるというのなら……。リディアーナ、貴女、お兄様にお願い事があったのではないのですか?」

リディアーナはシャンテルを見上げてからこくりと頷いて、スカートのポケットから皺になった白い紙を取り出した。

そしてそれを、モジモジしながらカインへ差し出す。

「おにいさまに、おてがみです」

「私に? ありがとう」

リディアーナに微笑みかけ、カサカサと手紙を開く。幼く、まだ書きなれない字ではあったが、そこからは一生懸命でいじらしい想いが伝わってきた。

「ええと。いっしょに、さかなとりきょそう……が、したいです」

「魚とり競争ね」

シャンテルが通訳をしてくれる。

「おべんとたべる」

「ピクニックに行きたいのですって」

「……およめさん、に、なりたい」

シャンテルはクスクスと笑い、リディアーナは、はにかみながら頬を染めた。