少し前までは、何か、温かいものに包まれているような安心感があったのに。
それはいつの間にか消え去り、そして辺りは真っ暗闇に染まった。
「フェイ……」
無意識に求める名前。
不安を紛らわせるように小指のシルバーリングをそっと撫で、辺りを見回していると。
ズズ、ズズ、と何か地面を這うような音が、こちらに向かって近づいてきた。
それがとてつもなく恐ろしいものに思えて、リディルは走った。
水の中のように、思うように手足が動かない。水を掻き分けるように必死にもがいたが、あっという間に“それ”は背後に迫った。
しゅるり、と黒くて細い糸が手首に巻きつき、後ろへ引っ張られる。それから逃れようと必死に抵抗していると、更にもう片方の手首が捕らえられ、引き倒された。
ズルズルと身体を引き摺られ、抗おうとすればするほど、黒い糸が身体中を縛り上げ、自由を奪われる。
それでもなお抵抗を続けると、ゾクリ、と背筋が粟立った。
何かの気配がする。
「魔族……?」
それに近い気配。
だが、こんなにも“恐ろしい”と感じたことはなかった。
いや、恐ろしい、なんてものではない。どう形容したら良いのか分からないくらい、心の奥底を揺るがすような強い衝動を感じた。
カタカタと震えだす身体を無理に奮い立たせ、その正体を見極めようと顔を上げる。
それはいつの間にか消え去り、そして辺りは真っ暗闇に染まった。
「フェイ……」
無意識に求める名前。
不安を紛らわせるように小指のシルバーリングをそっと撫で、辺りを見回していると。
ズズ、ズズ、と何か地面を這うような音が、こちらに向かって近づいてきた。
それがとてつもなく恐ろしいものに思えて、リディルは走った。
水の中のように、思うように手足が動かない。水を掻き分けるように必死にもがいたが、あっという間に“それ”は背後に迫った。
しゅるり、と黒くて細い糸が手首に巻きつき、後ろへ引っ張られる。それから逃れようと必死に抵抗していると、更にもう片方の手首が捕らえられ、引き倒された。
ズルズルと身体を引き摺られ、抗おうとすればするほど、黒い糸が身体中を縛り上げ、自由を奪われる。
それでもなお抵抗を続けると、ゾクリ、と背筋が粟立った。
何かの気配がする。
「魔族……?」
それに近い気配。
だが、こんなにも“恐ろしい”と感じたことはなかった。
いや、恐ろしい、なんてものではない。どう形容したら良いのか分からないくらい、心の奥底を揺るがすような強い衝動を感じた。
カタカタと震えだす身体を無理に奮い立たせ、その正体を見極めようと顔を上げる。


