《だが、私は信じる》

どっしりとした、大地を思わせる重厚な声が、霧の中を泳いだ。

《私は、託す。光の中に生きる、勇敢なる人の子に》




たゆたうミルク色の霧の向こうに、黒煙を上げながら滑空する黒い飛行艇がぼんやりと映し出された。

それは遥か遠い北の海に、飛沫をあげて突っ込んでいった。




《私は、託す》


力強く響くその声には、強い信念とともに、切なる祈りが込められていた。