Faylay~しあわせの魔法

艦内放送の直後、さっそく廊下の角から寮監たちが姿を現した。後方からは、同じ寮に入っている傭兵たちが迫る。

「あー……すみません」

フェイレイはペコリと頭を下げると、腰の後ろから剣を引き抜いた。

「ちょ、フェイレイさん!」

「下がってろよ、ヴァン」

まさか、とヴァンガードが目を見開いている間に、フェイレイは動いていた。

まずは後方からやってきた剣士相手に派手に剣を振り回し、峰打ちで倒していく。

「ごめん、手加減出来ないから!」

謝りながらも容赦ない剣は、峰打ちとはいえ十分に殺傷能力がある。フェイレイの力を知っている剣士たちは、僅かに怯んだ隙に次々と倒されていった。

バタバタと倒れていく傭兵たちに、ヴァンガードは震える。

「こ、こんなことをして、タダで済むわけが……」

そうしている間に前方の寮監たちを倒し、フェイレイはズンズン進んでいく。

「IDを削除して、自分の存在を消して……そうまでして、助けに行きたいんですか……」

吹き飛ばされていく人々の間に、チラリと見える藍のマントを見ているうちに、ヴァンガードの中でも決心が固まった。

自分の部屋に引き返すと急いで荷物をまとめ、フェイレイを追いかける。