Faylay~しあわせの魔法

リディルは自分の置かれた立場を理解している。そうして、周りの人達を助けるために皇都に行く決心をした。

止めるべきだった。だけど出来なかった。

アリアやギルドの人達、自分と関わったすべての人を犠牲にすることを、リディルが望んでいなかった。

助けたい。

でも助けられない。

息苦しいほどのジレンマに、ゴロリと寝返りを打つ。

シャラリと首にかけた鎖が小さな音を立てた。

胸の上で転がる小さなシルバーリングを握り締める。

父や母、一緒にギルドで戦ってきた仲間たち。任務で関わった街の人々。様々な人の顔を浮かべては消して、最後にリディルの最後の微笑みを思い浮かべた。

フェイレイは、ガバっと勢い良く起き上がった。

ベッドから下りるとクローゼットを勢い良く開け、予備のマントを羽織り、額に紺のバンダナを巻く。

そして、手早く荷物をまとめると部屋を飛び出した。

「これしかない」

そう呟きながら、早足に向かった部屋は。

「ヴァン!」

そう叫びながらドアを蹴破る。電子ロックがかかっていたはずのドアは見事に吹き飛んだ。

部屋の中にいたヴァンガードはベッドに突っ伏して泣いていたのだが、突然の大きな物音に心臓を飛び上がらせて顔を上げた。

「な、なん……」

驚いて声も出ないヴァンガードに、フェイレイはツカツカと歩み寄る。