Faylay~しあわせの魔法

フェイレイは、自分のためにアレクセイに頭を下げていたアリアの姿を思い出す。

今も気丈に見える母は、ギュッと握り締めた拳を震わせていた。


──子を想わない親はいない。


自分で言った言葉が、今、身体の芯まで染み込んでいった。

アリアがああしなければフェイレイは斬られていたかもしれないし、セルティア国も滅ぼされていたかもしれない。

母は、感情で動いて事態を悪化させようとしていた自分の、尻拭いをしてくれたのだ。

「お前たち、少し休め。疲れただろう……」

アリアも少し疲れた顔で、支部長室を出て行った。ブライアンもそれに続く。

残されたフェイレイとヴァンガードはしばらく動かずにいたが、やがて寮にある自分の部屋に向かって歩き出した。


その途中の回廊で、空を見上げた。

まだ上空に停まっている戦艦に向かって、一艘の飛行艇が飛んでいく。

黒い機影は星府軍のものだ。

あれにリディルが乗っているのだろうかと思うと、足が勝手にそちらに向かって走り出した。

だが、すぐに立ち止まる。

今の自分には、何も出来ない……。