Faylay~しあわせの魔法

巻き添えにしないよう、切り捨てるために。

そのことに、ヴァンガードは気づいた。

「星府に見つかったら、迷わず自分たちを差し出せと言われていた。だが、そのときはヴァンガード、お前を頼むと……言われていたよ」

アリアはポン、とヴァンガードの肩を叩いた。

ヴァンガードの大きく見開かれた瞳からは、ボロボロと涙が零れいてた。

「卑屈になるな、お前は愛されている。強く生きろ。それがご両親の願いだ」

ガクリと膝をついて泣き崩れるヴァンガードに、フェイレイは微かな笑みを浮かべると、アリアに話しかけた。

「……リディルの、母さんは? 一緒に逃げてきたんじゃないの?」

アリアは首を横に振った。

「リディルを逃がす時に、自らを盾にして星府軍の攻撃を防いだらしい。……あの子の表情が乏しいのは、そういう辛い想いをしたことを、潜在的に覚えているからなのかもしれないな」

その話を聞いて胸を締め付けられたフェイレイは、閉じられてしまったエレベーターの扉を見た。

「……母さん」

「駄目だぞ」

フェイレイが何か言う前に、アリアは止めた。

「解っているだろう。アレクセイには敵わない。お前には無理だ」

「だけど!」

「お前も、死なすわけにはいかん」