Faylay~しあわせの魔法

残されたヴァンガードは、ギリ、と歯軋りした。

「やっぱり、あの人達は……!」

目尻に涙が堪っていく。

「ヴァン……」

なんと酷いことを言うのだろうと、フェイレイはヴァンガードに声をかける。

「……だから言ったでしょう? 僕は、ドラゴンに殺されていれば良かった」

「そんなこと言うな」

「だって僕は、あの人達にとってどうでもいい存在なんだ! ……生きてる価値すらない」

拳を震わせ、パタパタと涙を落とすヴァンガードに声をかけようとすると、アリアに止められた。

アリアはヴァンガードの目の前まで行き、膝を折って彼の顔を覗き込んだ。

「お前の両親には、黙っていろと言われたが……それがお前にとって良いことだとは思えんな」

「……え?」

「どちらにせよ辛い思いをするのなら、真実を知れ」

ヴァンガードの涙を拭ってやり、アリアは立ち上がった。

「10年前、皇都でクーデターが起きた。それは聞いているな?」

「……はい」

ヴァンガードは鼻を啜りながら頷いた。

「その首謀者に仕立て上げられたのがリディアーナ皇女殿下……リディルだ。皇家はカイン皇帝陛下の星府軍と、リディルの反星府軍に分かれた。だが実際のところ、星府軍の圧倒的武力によって、すぐに戦は終結したのだ。反逆を企てた宰相らはすぐに牢に入られたが……何の罪もない若干7歳の皇女殿下を憐れに思った者が、皇女を皇都から逃がした。……それが、お前の祖父だ」