Faylay~しあわせの魔法

交わった剣を互いの力で押し合うと、そこから2人の気が弾けて四方に飛び散った。

ゴオオ、と突風となって飛んできた気の残骸は、周りにあるものを吹き飛ばし、壁や窓に亀裂を作った。

「やめろフェイ!」

アリアは前に出て行こうとするが、更に第二波が飛んできて目を開けていられず、腕を翳して後退した。背後にある窓ガラスが割れ、外に吹き飛んでいく。

「やはり惜しいな」

騎士は剣を交わらせながら、そう呟いた。

最初の一撃。可変式の剣で、遅れることなくついてきた。そのスピードは天性のものか。

「だが」

フェイレイの剣を弾き、一旦身を引く。すかさずフェイレイは踏み込み、剣を袈裟斬りに振り落とした。

それを半身でかわし、そのままくるりと回転して正面を向き、上からフェイレイの剣を叩いた。

「皇家に仇なす者を、排除するのが私の役目」

剣から伝わってくる力に手が痺れ、フェイレイは剣を落としかけた。それを左手で受け止め、体勢を崩しながらも振り上げる。

騎士は難なくそれを受け止め、フェイレイは弾き飛ばされた。

「フェイ!」

周りから声が上がる。

「っく」

床の上を転がり、体勢を整えようとしたときには、すでに目の前に騎士の姿があった。