2セット目もうちの高校が大差で取り、3セット目、私は2年の先輩と交代してベンチに戻された。

「竹中さん、良かったよ」

後ろから誰かに声を掛けられ、頭を撫でられた。振り向くと、裕樹先輩が優しく微笑んでいた。

「あ、ありがとうございます」

私は顔が熱くなるのを感じていた。

「どこかで秘密の練習でもしたのかな?」

「えっと、それは…」

ふと見ると、裕樹先輩の隣に水嶋先輩がいて、『言うなよ』という感じで、口に人差し指を当てていた。

「してません」

「そう? それにしては良いトスを上げてたね。いつでもスタメンで行けるんじゃないかな」

「そんな…、私なんか、まだまだです」

「いやいや、そんな事ないよ」


3セット目はやや接戦になったものの、結局はストレートでうちの高校が勝った。