お母さんはニコニコしながら、探るような表情で私の顔を覗き込んだ。

「そ、そんなんじゃないよ」


とは言ったものの、私は裕樹先輩の事、好きになっちゃったのかなあ…

お風呂で湯舟に浸かりながら、裕樹先輩の爽やかな笑顔を思い出してみる。

『すごいね、竹中さんは』と言われた時の、低いけど優しそうな声を思い出す。

ハア〜。裕樹先輩、格好いいなあ。

不意に『バーカ』って言った時の水嶋先輩の意地の悪そうな顔が浮かび、私は慌てて首を振ってそれを打ち消した。

もう…勝手に出て来ないで!

私が出した結論。それは、私は裕樹先輩が好き。

男の子を好きになったのは初めてだから、これが私の少し遅い初恋、という事になると思う。