「佳奈子、やったじゃん?」


早速、席を移るために荷物を整理していると、隣のゆかりちゃんが小声で話し掛けてきた。


「羨ましいなあ……」


「なんでよ?」


私も小声で返した。


「だって、香取さんと一緒に居られるんだよ? 私がなりたかったなあ」


「ああ、そういう事か。なんで私なんだろう?」


「そりゃあ、アンタは特に担当がないからだよ」


「なるほどね……」


管理課で女性は、私とゆかりちゃんだけ。私よりゆかりちゃんの方が一年先輩で、仕事も私より出来ると思うけど、担当をいくつか持っている。


担当のない私なら、課長の専属にしても問題ないという事だろう。能力は別として。