第一夫人のローザに狙われてるとは知らず、アリアとジェイドは城の私室へ戻って来た。
「ジェイド様、見せたいものとは?」
「これだ」
ジェイドがアリアに差し出したのはランチボックスのような籠だった。
ジェイドがそっと開けると中には小さな子猫がいた。
「あっ……」
「抱いてもいい。お前の猫だ」
「本当ですか?」
「ああ」
「ジェイド様!ありがとうございます!すごく嬉しいです」
「ああ」
アリアに抱かれた子猫はすぐにアリアに懐いた。
「ジェイド様。この子の名前はありますか?」
「いや、ない」
「ジェイド様、名付けて下さいませんか?」
「俺が?」
「いけませんか?」
「いや、そうだな……ミリー……」
「ミリー……可愛いわ。あなたは今日からミリーよ。素敵な女の子になるのよ」
「気に入ったか?」
「はい。とっても可愛いです。ね、ミリー。ジェイド様が付けてくれてよかったわね」
アリアの腕の中で喉を鳴らしながら甘えていた。
「ほら、ミリーも気に入ったって言ってますよ」
「そうだな」
アリアはミリーに夢中で気付いていなかったがジェイドはアリアを見つめながら微笑んでいた。

