アリアとルーシアが庭で楽しく過ごしていた所にジェイドがやって来た。
一言二言と会話をし、アリアと手を繋いで城に入って行くのを遠くから睨みつける一人の女性がいた。
派手な化粧を施し、露出度の高いドレスと宝石を身に着けた美しい顔立ちの女性だが、その憎悪に塗れた姿は美しいとは言えない。
「あの小娘!許せないわ。ナタージュ!」
「はい。ローザ様こちらに」
「あの小娘を調べて頂戴!!すぐによ!」
「畏まりました」
「あの小娘さえいなければ私が王妃になるはずだったのよ!」
「その通りです。ローザ様こそ王妃に相応しいですわ」
ナタージュの言葉に気分が良くなったのか眉間のシワがなくなり上機嫌になった。
「そうよ。私が王妃になるべきなのよ。ジェイド様に相応しいのも私」
自意識過剰で気性が激しい、この女性。
ジェイドの第一夫人のローザ。
現在25歳で18歳の時に長年憧れていたジェイドに嫁いだが最初に挨拶を交わしてからジェイドに全く相手にされず付き纏った挙げ句、城を追いやられた。
以来、ジェイドの前に姿を現す事を許されず第二、第三夫人と共に同じ城に住む事になった。その為、遠くからジェイドを見ていた。
今まではそれでもよかったのだ。
アリアが現れるまでは――――

