アリアが嫁いでから城の雰囲気が穏やかになった。
アリアの本来持つ穏やかな雰囲気も関係あるが、一番はジェイドの雰囲気が変わった事だった。
冷酷で非情だと噂されるだけあって非常に冷たい男だが、刺々しい雰囲気が少しだけ穏やかになった。
ジェイドは結婚してから毎晩、アリアと夜を過ごしている。
アリアを抱くと、とても暖かく、穏やかで満たされる。
その日もいつものように過ごしていた。
行為後は裸体で抱き合いながら過ごすのが普通になっていた。今日はいつもと違い、ジェイドはローブを羽織るとどこかへ消えた。
アリアはまだ息も荒くジェイドの行動を気にする余裕はなかった。
暫くして戻ってきたジェイドはアリアの体を起こし、首に何かを着けた。
「まぁ、なんて美しいのかしら……。ジェイド様。これは?」
「俺の母親のものだ。お前の目と同じ色だろう。これは、お前が持つに相応しい」
「亡くなられた王妃様の……そんなに大切なものを頂いてよろしいのですか?」
「ああ」
「ありがとうございます。大切にします」
ジェイドがアリアの首に着けたのはサファイアのネックレスだった。

